ミッション故障のレガシー

スバルオートマ故障診断

走行中、完全に暖気後「ドスン」という大きな変速ショックが発生するスバルレガシーターボの5速オートマ

スバルのこの5-EATって呼ばれるオートマは10年ぐらい前にWRXのクラッチ焼き付きでオーバーホールをやったことが有りました。なんだか懐かしい。
すっごい重たい鉄製のミッションだったなぁ

某中古車量販店で購入して、車検は車検専門店、ややこしい故障は自分の工場に入庫という、よくあるパターンの修理依頼。
「直せないところから車を買わなきゃいいのに」などと思いながら、診断機を接続して故障コードの読み取り

故障コード

故障コードP1710 タービン回転センサー

暖気後の変速ショックで多い回転センサーの故障コード
とっても古い型のAUTEL診断機ですが、この年代の車の診断にはとても合ってて、走行しながらの診断では今でも使ってます(もちろん最新のも持っているんですけど、繋げて走るにはちょっと大きくて、、、)

オイルパンとオイルフィルターを外すとすぐバルブボディが現れます
このミッション、バルブボディを外せば、問題のセンサーはすぐ取り出せるのですが、走行直後のオートマオイルはとても高温になるので、冷やしてから作業しましょう。

オイルが浸入し膨らんだセンサー

作業自体は簡単で、センサーは瞬間取り外せましたが、故障原因は徹底的に調べるべき。
本当にセンサーの故障なのか?もしかしたらほかの原因はないのか?再発防止はできるのか?まで考えるのが整備士さんの仕事なので新品のセンサーを取り寄せて確認

センサーの形状が新品と違うというか、妙に膨らんでいるので、膨らんだ部分を切り取ってみると、なんとセンサー内部からオートマオイルが大量に出てきました、配線部分のシールが不良で、そこから内部にオイルが浸入していたんですね

今回の故障原因は、診断機の指示通り、回転センサーの故障で間違いないようです。

タービン回転センサーの交換

早速、部品商さんにセンサーを注文すると

「センサー部分だけでは設定はなく、アンプの部分とのAssyになって金額は4万円」
「半導体不足の影響でメーカーにも在庫切れで納期は早くて2か月後」
っていう、これまたよくあるお返事でした。
その間、ユーザーさんを待たせるわけにはいかないので、某国のネット部品を取り寄せる事に、、、

海外(特に米国)では自分の車をDIYで修理するのが当たり前で、こういう部品は単品で安くネット上に出回っています。今回は某大陸系のネットで激安のセンサーを取り寄せてみました

自分の工場は某大陸と目と鼻の先に有るので、郵便便で瞬間届きました。
しかし、包みを開けてみると、なんと新品なのにビニールの包装が破けていて、、、怪しい、、、
嫌な予感を感じながら配線を繋げて、オイルを入れて診断機をあててみると、同じ故障コードが発生し
変速ショックも治っていません
某国ネットで買ったこのバッタモンのセンサーは不良品だったようです。

「どうしよう?」と悩んでいたら、純正品を頼んであった部品商から連絡が、、、
「たまたまキャンセルが出たらしく、メーカーに一つだけ在庫がある」っていう謎の連絡がはいったので、速攻で注文入れました。

でも、なんでメーカーさんは、センサー部分だけの部品って出してくれないんだろうね
このセンサーはどこの国で造らせているのか知らないけど、分解して切り刻んでみて解ったこの部品の品質だと、スバル車のこのオートマにはかなり多く同じ事例が出ていると思うのですが、、、

センサーを純正に交換して、オイルフィルターを新品に交換(こちらは某国ネット品で激安部品でも大丈夫でした)オイルパンの鉄粉を綺麗に掃除して、診断機で温度管理しながらオートマオイルを注入
故障コードをリセットして、走行テストの結果、変速はめっちゃスムーズになっていました

試乗後、診断機を繋ぎ直し、再度故障コードが入っていないことを確認後、修理を完了としました。

ネット部品の闇

今回、某大陸系ネット部品は、全くの不良品でした。
ですが、某大陸、もはや日本より数段技術力高いのも事実です。
お隣の国や米国、北欧から取り寄せる部品、特に輸入車のミッション系には、日本で手に入れられないような便利な部品がいっぱいあります。
以前、ベンツAのバルブボディ一式VINコード入力済みポン付けっていう謎の激安部品を使ってみましたが、見事に今でも問題なく走っています。
北欧の電子立国やお隣の国、米国の車の半導体関係の技術に、日本の半導体関係はもう負けちゃっている事も受け入れないとね、、、
車好きのためには、日本でもそういう社外アフターパーツメーカーあればいいのにね

では、日本国内のネットパーツはどうかというと

もう10年ぐらい前なので、当時の顛末を書いたブログの記事も削除してあげておきましたが、ある日本のネット部品商から、ワーゲンポロのエアマスセンサーを買った時のことなんです、そのお店から取り寄せたセンサーを交換しても同じ故障コードが出ました
念のため同じ部品商さんとほかの部品商さんから同じ部品を再度取り寄せて試してみると、他店の部品では故障は完治して、そのほうの部品商さんの部品を付けた時だけ、やはり同じ故障コードが出続けました、、、

2個同じパーツを取り付け、他社の同じ部品では故障コードが消えるのに、その部品商さんから取り寄せたパーツだけ故障コードが出る現実では、その新品パーツが不良品だと考える他有りません
なのでその怪しいエアマスセンサーを分解してみると、なんとも言えない小学生の工作レベルの半田付けが施してあり、しかも付いていなければいけない配線が半田から外れていました
当時の分解した証拠の画像は今でも残っていて、「驚愕の画像」なんですよw

そのネットショップの商品説明には、ヨーロッパの有名なアフターパーツメーカーM〇〇〇って書いてあったので安心して買ったのですが、まさかのバッタモンでした
当然、そのネットパーツ屋さんに返金を求めたのですが、返事はなかったですね
「返品お断りします、知りませんよ」っていう感じでしたし、画像付きで送った不良品である証明内容も、電話での対応も、自分の言っている事が理解できないようでした、、、電子部品に対する知識が全くないという感じ

仕方ないのでその顛末をブログに載せて世に問うてみると、「私も同じことが有って」っていう被害者さん何人からも同じようなコメントいただきましたっけ、、、

それ以来、ネット部品はなるべく使わないように、ネットで部品を購入する際は、信用できる部品商さん(ちゃんとした所もあるんですよ)のみから購入するようにしています
商品説明の文章、価格、レビューをしっかり読むと、ある程度判断付くようにもなりました。

ちなみにそれ以来、自分の工場は部品の持ち込み修理は原則お断りさせていただいています。

そのネット部品屋さん、今でも部品を検索すると、大々的に画面に出てきます、まともになったのかな?
DIY修理する皆さんはネット部品には気を付けてくださいね

オートマオイル交換方法

スバルユーザーにはお車を大切にされる方が多いと思うので追伸です。

アウディのDSGミッション修理の記事でも書きましたが
不調を起こしたオートマはオイルを交換しただけでは原則治りません
オイル交換で改善するのは、オイル不足、オイルの変質、バルブボディの軽い作動不良までです
作動不良を起こしたソレノイド、焼けたクラッチ板、故障したセンサー、等、オイルが新品になったからと言って復元はしないのです
なので、不調を起こしたミッションと走行距離(自分の感覚では7万キロぐらい)を走った車両は
・色、見た目、触感によるミッションオイルの点検
・コンタミチェック(クラッチ板の異常の検査)
・診断機による故障履歴の読み出し
・不良部品の交換
・オイルフィルターの交換
・温度管理をしながらのオイル交換

が有効になります

トルコン太郎っていう上抜きの循環型オイル交換が有名です、故障前、走行が少ないうちの予防整備としてとても良いと思います、大切なお車なら定期的にやっておくとよいですね
ただし、走行距離が走った車や、変速ショックがすでに起きている車にはやはり診断機による故障診断とオイルパンを外しての清掃、オートマフィルターの交換と、バルブボディ内部までのオートマオイル交換が必要です

オートマミッションを長持ちさせるには、油圧管理(フィルターの詰まりによる油圧低下)とオイル温度管理が重要です

お大事に

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