アウディDSGミッション修理終了と試乗

アウディミッション分解修理 フロント回り全て取り外しての作業

湿式dsgミッションを降ろして分解、回転センサー交換後の作業です

ミッション分解とオイルクーラーバルブ交換

ミッションオイルクーラーバルブ

回転センサーの交換作業後は、ミッションオイルクーラーバルブの交換作業

回転センサーの交換作業後は、ミッションオイルクーラーバルブの交換作業

AT、DSGミッションに限らず、クラッチの破損を招くのは、ミッションオイル冷却不良による高温化が関わっているか油圧が足りないかのどちらかです。この根本的原因を修理してないと、いくらオイル交換をしても、クラッチを交換しても同じ症状が発生することになります。
今回のアウディ湿式7速ミッションOB5には、温度コントロールソレノイドが、ミッション内メカトロとミッション外の両方に有ります。
今回は、ミッション外に付いている水冷のオイルクーラーへのバルブ(画像の部品)のコネクターが腐食して電圧がかからなくなっていました。エンジンで言えば、サーモスタットが開かず、オーバーヒートする状態になっていました。
ソレノイドバルブを新品に交換して、腐食しているコネクターを修理。

今後の予防整備として、クランクシャフトシールとフロントデフのシャフトシールを交換しておきます

フロントデフのシャフトシール

DSGオイル交換

ミッション、エンジンを車両に載せて、デフオイルを入れて、DSGミッションオイルを診断機を繋いて温度管理しながら入れます。オートマオイル交換でもデュアルクラッチミッション交換でもそうなのですが、オイル交換時には温度を管理しながら給油量を守って交換することが大切です。
意外と知られていないのですが、オイルは足りないのも問題ですが、回転部分との位置の関係で気泡が発生する恐れがあるので、入れすぎてもいけないのです。
アウディのミッションの整備やオイル交換を依頼するときは、このミッションに対する知識と診断機を有する工場に頼む必要が有ります。

全ての作業を終わらせて、試乗を繰り返し、ミッションに故障コードやオイル漏れが発生しないことを確認して今回の修理を終了しました。

アウディミッション修理結果

このお車を納車して2か月後に、もう一度ご入庫いただき、診断機にてミッションの故障コードを確認させていただきましたが、異常はなく、オイル漏れもありませんでした。
今回の故障の原因は、オイルクーラーソレノイドバルブの断線と、回転センサーで間違いなかったようです。
万一、メカトロの故障が発生しても対応できるように、作動確認済みの程度の良い中古のメカトロを用意してあったのですが、その心配もないようです。

このA7は車検も切れるタイミングだったのと、ディラーさんでのミッション修理の見積もりが超高額だったため代替えになる予定でしたが、今回、ユーザーさんが、ネットで当店の事を見つけて修理が成功したため、車検を受けてあと2年乗り続けて戴けることになりました。

クワトロのデュアルクラッチミッション、何かと悪評が高いのですが、乗ると癖になる独特の駆動力のダイレクト感があります。変速も思っているより驚くほどスムーズです。
ただ、やはり故障が、、、となりますよね、、、ですが
今までは、ミッションが故障すると70万とか90万とかディラーさんに言われて、やむなく新型車に代替えになっていたと思いますが、最近は当店のように修理できる工場も増えてきているはずです。
フルタイム4WDなので、雪道や雨の高速道路での安定感は格別。A4なら、だいぶん安い価格で流通しているのではないでしょうか?何よりもおしゃれだし、ボディ剛性のしっかり感は、やはり日本の車とは比べ物にならないほど良くて、運転が楽しいクルマです。
もう5年ほどすれば、実質、内燃機関(ガソリンやディーゼルの車)に乗ることはできなくなります
最後のエンジン車として乗ってみるのもよいですね。
アウディには残念ながらオイル消費量が過大になっているエンジンがあるのでそこも要注意ですけどね。

とりあえず、今回、解体屋さん送りになるはずだった車を、また一台救う事が出来て自分も満足です。

オートマオイル交換 DSGミッションオイル交換

金属粉でドロドロのオイルパン

自動車修理の世界で都市伝説のように通説になっているのが
「ミッションオイルは交換しなくてよい」
「ミッションオイルを下手に交換すると逆に走行不能になる」
「オイルを替えると故障が治る」
というのが有りますが、自分は断言しているのは「どれも間違い」です。

オートマミッションオイルは無交換でよい?

沢山のAT、DSGミッションを分解してきて思うのは
・オイルの汚れ方の酷さ
・オイルフィルターの汚れの酷さ
オイルの汚れから来る油圧低下による故障がよく発生しています
ミッションオイルは定期的に交換するべきです
何故ミッションオイルは無交換という話が出てきたのか、理解できません

距離を走ったオートマ(DSG)オイルを交換すると走行不能になる?

実際に起こった事例があるのだと思います。
でも、これも正しくありません。

ミッションオイルを交換するには、タイミングと方法が大切です

まず、大前提として、故障を起こしたミッションはオイルを交換しただけでは治らないという事です。
Web上には「大量に新油を使う循環型オイルチェンジャー」を使って故障が治ったという記事を見かけますが、オイル交換で変速ショックは改善されると思いますが、根本的な修理をしていないと、オイルを上抜きで交換しただけでは、勝手に故障個所が修復することはありません。

オイルを交換したから走行不能になったのではなく

「走行不能になる予定の故障をオイル交換で修理しようとした」
「適合しない間違ったオイルを入れた」
「上抜き型循環型装置でオイルパンに溜まった金属粉を循環させて、バルブボディの故障を招いた」
いずれかに当てはまると思います。

オートマ(DSG)オイル交換のコツ

循環型オイル交換装置を否定しているのでは決してありません
使うタイミングの問題です
走行距離が少ない場合、ミッションの寿命を延ばし、性能を保つためにはとても有効な方法です
自分もお勧めしたいです

ただし、既に走行距離(自分の感覚では7万キロ以上)走った車やミッションに不調を起こしている車には有効ではないと思います。
ミッションのオイルパンを外してみたことがある整備士さんなら解ると思いますが、走行距離の過ぎた車両のオイルパンにはかなりの量の鉄粉が溜まっています。バルブボディの内部に鉄粉が溜まっている場合もあります。
この状態になっている車で、この鉄粉を取り除かずにオイルを交換しても、交換する意味が薄れてしまいます。ましてオイルを循環させて、すでに詰まって性能が落ちているいるオイルフィルターにさらに負担をかけるなんて、お勧めできません。

走行距離を走ったオートマオイル交換方法

・オイルパンを外して清掃
・オイルパン内のATオイルフィルターを交換(せめてミッション外付けのフィルターを交換)
・バルブボディーのボルトを緩めて全オイルを交換する
です。

不調を示している車のオートマオイル交換方法は

・ソレノイド作動不良、回転センサー不良、すでに傷んだクラッチ、はオイル交換では治りません、速やかにコンタミチェックと診断機による故障診断を行い、そして故障個所を修理することです。

悪化する前にお早めに
お大事になさってください。



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